教室の片隅、真理男くんが悩んでいました。
「どうしたのよ~」と声をかけたのは、不動くんでした。
「この前誕生日に、ニンテンドークラシック貰ったんだけど、実は2台目でさー」。
この冬、入手困難なゲーム機が2台もあるなんて、うらやましいなと、不動くんは思いました。
「売っちゃえばいいジャン、ハードオフとかさ」
「でもあれって安く叩かれない?ヤフオフなんかも面倒くさいし」と真理男くんは浮かない顔です。
「んじゃ、誰か欲しいやつがいたら、声かけるよ」と不動くんは、席を立ちました。
家に帰り、夕食時。
ドンキホーテの袋を数多く置いた親父が、頭を抱えていました。
「いや~、会社の忘年会のビンゴの商品がさ、ぱっとしないんだよね~」
不動君は、ふと思い出しました。
「ニンテンドークラシックが手に入るよ!」
「ホントか!それテレビでやってたな。いくらよ」
「1万3千円ぐらいするけど、ちょっとは小遣い頂戴よ」
「う~ん、明日に持ってきてくれるなら、2千円の小遣い付けて、1万5千円で買うよ」。
そして翌日の学校。
真理男くんに「買いたいやつがいるから売ってくれよ」と話を切り出します。
「話が早いじゃん、とりあえず定価で売ってくれたし」と喜んでいます。
「明日に金に換えてくるからさ、2千円ぐらい手間賃頂戴よ」と不動君は切り出します。
「しゃーねーな、そのくらいなら良いよ」と真理男君は答えました。
不動くんは、1万3千円の商品を売ったお陰で、2千円×2=4千円儲けたわけです。
不動産の販売手間賃=『仲介手数料』の最大の特徴は、売主・買主両方に請求できることです。
不動君で言えば、真理男くんからと、親父からです。
これを業界では『両手』と言います。
仮に、親父の友達がニンテンドークラシックを欲しかったとします。
その場合、親父からは手間賃は取りづらいですね。
とるなら、親父の友達が、親父に手間賃を払うことになるでしょう。
不動君は真理男くんからしか、手間賃を取れません。
これを業界では『片手』と言います。
もうひとつ仲介手数料の特徴は、『売った金額で金額が変わること』です。
簡単に言えば、高いものを販売すれば、仲介手数料も高くなります。
例えれば、4万のPS4売ったら、手間賃は2千円じゃなくて4千円は頂戴よ、ということです。
では、このルールの中で、不動くんは、どうやって手間賃を増やすことを考えるでしょうか?
親父の友達が欲しいといわれたとき、「売らないよ」といいます。
まずは、自分の友達に買いたい奴がいないか、探します。
「買いたい人がいるのに売らない」という行為を『囲い込み』と言い、業界では違法行為となされています。
商品を販売して、手間賃が半分になってしまうから、本音は「売りたくない」訳です。
もうひとつは、「より高い物件を進められる」ということも同様です。
買いたい購入者の意向ではなく、販売者の儲かり具合で取引が行われているからです。
「商売なんて、金儲けだから当たり前ジャン」と言われれば、正論だと思います。
ただ、不動産会社の心持で、適正価格以上の価格で販売されたり、買えなかったりすることは、現場では起こっています。
□仲介手数料は売主・買主両者に発生する。
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