『レインズ』というシステムを説明する

 

不動産と言う業界にも専門用語・独自のシステムと言うものがあります。

 

その一つが『レインズ(REINS)』です。

 

略せず言えば『Real Estate Information Network System』。

 

「リアル・エステート・インフォメーション・ネットワーク・システム」=不動産情報を統括する仕組みと言うわけです。

 

国の外郭団体が音頭取りして、平成2年からスタートしたものです。

 

 

 

ざっくり仕組みを説明します。

 

まず、不動産が売りたいという人がいたとします。

 

必然、不動産会社の手を借りるわけです。

 

「では、販売お願いしますよ」と言う契約を結びます。

 

これを媒介(橋渡し)契約と言います。

 

不動産会社は、営業活動に入るわけです。

 

「販売しますよ」と言いながら、何もしてなかったら困るわけです。

 

国としては、把握できないところで不動産売買されると、不法な価格捜査や不適切な販売に繋がると考えたわけです。

 

加えて、バブル景気を経験し、『不動産価格の抑制』ということも重視するようになりました。

 

そこで、「もし媒介契約を受けたら、このネットワークに情報をアップしてください」という箱を作ったわけです。

 

箱に情報を集めて置けば、監視も楽なるわけです。

 

これが『レインズ』です。

 

現在、東日本(中部含む)・近畿・西日本の3つに分かれて運用されています。

 

 

 

しかし、制度スタート当時は、利用率がまったくあがりませんでした。

 

理由は主に二つ。

 

一つは、パソコンに慣れてない町の不動産屋が、まったくやらなかったため。

 

もう一つは、売主と買主の両方から取れる手数料が、売主だけになってします『片手取引』になってしまうため。

 

そのためお国は、独占的に販売契約を結ぶ『専属専任媒介契約』『専任(媒介契約』の二つの契約に関しては、「絶対にレインズにあげなくては駄目」、複数社で販売契約を結ぶ『一般媒介契約』は努力目標にしたわけです。

 

そのため、東日本レインズで、約55万件の情報アップがなされています。

 

 

 

では不動産購入を考えている一般消費者は、レインズの内容を見ることができるのでしょうか?

 

答えは『No』です。

 

理由は「利用企業・団体からの反対」なのですが、その一つの理由が前記の「片手取引をしたくない会社が情報を挙げていない」→「売主がレインズに自分の物件が上がっていないことに気付く」→「不動産業法違反で訴えられる」というものです。

 

そのような問題を解消するために、西日本レインズでは売主用にレインズを見られるような取り組みを始めています。

 

また『アットホーム』『ホームズ』『スーモ』などの民間の不動産情報サイトが「民業圧迫」と反対しているのも考えられます。

 

しかし、不届きな不動産会社が、一般ユーザーにレインズを見られるように自社のホームページを改良しているケースもあるようです(東日本レインズの違反企業警告資料より)。

 

ただ、詳細を調べきれていないですが、私見では「レインズの物件数<アットホーム、ないしホームズ、ないしスーモの物件数」となっているような気がします。

 

やはり日本人は、愛情こめた握手も不動産取引も「片手より両手」なんでしょうね。

 

 

 

実は、レインズを運営している国の外郭団体は、『不動産ジャパン』というホームページを開設し、レインズに上がっている物件の公開をスタートしました。

 

私もこのブログを書くまで知りませんでした。

 

ただレインズ上のすべての情報が上がっているのかは不明です。

 

まだまだ「これから」なのか、「このまま」なのかは不明です。

 

 

 

□国営不動産情報サイト『レインズ』より、民間の情報サイトを注視する。

 



ネット管理者目線で見る『ネット物件情報』の見方


今一度、片手・両手問題を取り上げてみる。