『豊洲市場問題』『森友学園問題』が世間を揺るがしております。
不動産に携わっている人間としては、仕事でも聞く言葉があがってきます。
その言葉が『瑕疵担保責任』です。
言葉の意味を知っていますでしょうか?
瑕疵=(読みは『かし』)欠陥
担保=(読みは『たんぽ』)問題があった時の償い、補償
責任=義務 自ら引き受けなければならない事柄
全部足すと「欠陥があった場合の補償・償いをする義務」ということにあります。
まずこの責任を背負うのは、現所有者や購入者ではなく、前所有者や販売会社ということです。
仮定の話をします。
マンションを買いました。
数日生活していたら、LDKのフローリングが傾いていることに気付きました。
重要事項説明や契約の際に「傾いている」なんて説明は聞いていないとなります。
誰が修繕費用を払うのでしょうか。
瑕疵担保責任の立場から言えば「前所有者」です。
「売ったからには、物件の欠陥に対し償うのは当たり前でしょ。今まで住んでいた(所有していた)から、問題あったの判ってるはずでしょ!」ということです。
「そんなこと知らなかったよ!気にならなかったよ」」という言い訳が聞こえそうですが、通用しません。
瑕疵担保責任は、欠陥の事実を知っている・知らないに関係なく発生するからです。
では、瑕疵担保責任はいつまで請求できるのでしょうか?
民法と言う『日本国民ルール』上では「買った人(新所有者)が、その欠陥に気付いてから1年間」です。
極論で言えば、マンションを購入して、50年経って欠陥に気付いてから1年間は請求できます。
もちろん大前提として「その欠陥が前所有者によるもの」となり、「新所有者の使用によるもの」は対象になりません。
このルールは、立場が弱い購入者(不動産の素人)を保護するものでした。
しかし、このルールのお陰で、前所有者は「売った後も、何か請求されるかもしれない」と枕を高くして寝れない、不安となったわけです。
前所有者も、立場が弱い不動産の素人ですから、保護しなければならない、となったわけです。
この悩みの相談を数多く受けていた不動産業界は、対策に乗り出すわけです。
そこで、契約時に『特約事項』という宅建業法という『業界ルール』を作ることにしました。
噛み砕いて言えば、「全国的にはずっと責任負わなきゃいけないけど、今回の契約は何年までは面倒見ますよってことにしましょうよ」ということです。
国民ルールより身近な業界ルールで、期間を限定したわけです。
ただし、売っている人や買っている人が業界人だったら、そんなのなしよ、という補足ルールもつけています。
また「古いマンションだし、瑕疵担保責任なんて負えないよ!」という売主さんもいるわけです。
そこで『瑕疵担保責任免責』というルールも作りました。
免責=(読みは『めんせき』)責任を免除する、逃れる。
買う人・売る人双方が納得すれば、瑕疵担保は問わない、ということです。
これから中古マンションを購入する方は、「瑕疵担保責任の所在」を確認しておくべきでしょう。
また、大きな値引き(指値)をした場合、代わりに瑕疵担保責任免責を付加されることも想定されます。
さて、最初の1行に戻ります。
豊洲市場は、予定地から有害物質がいっぱい出てきた欠陥品の売地です。
買主の東京都は、瑕疵担保責任を東京ガスに突きつけたのでしょう。
売主の東京ガスは、欠陥が他にばれたら売れなくなっちゃうから、契約したいわけです。
「東京電力は原子力汚染で失墜した。東京ガスは汚染物質を撒いているという噂は立てて欲しくない。東京都もそんなところに市場移転することが知れたら…」という双方の思いもあり、水面下の契約を目指したのでしょう。
森友学園は、予定地から生活ゴミがいっぱい出てきた欠陥品の売地です。
買主の森友学園が、瑕疵担保責任を財務局や大阪府に突きつけたのでしょう。
売主の財務省や大阪府は、欠陥が他にばれたら売れなくなっちゃうから、契約したいわけです。
学園の弁護士は、「欠陥品買うから大きく値引きしなはれ。財務省や大阪府の面子もあるサカイ、表向きは高い値段で買ったことにする」ということで、契約書が3種類になったのでしょう。
余談が過ぎました。
□「瑕疵担保はどうなってますか?」と聞いて見る。
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