『森友学園問題』が世間を揺るがし、尾を引いております。
不動産に携わっている人間としては、「ははぁ~ん」と思い当たる事柄があがってきます。
それが『3枚の契約書』です。
森友学園問題では、一つの不動産売買に3つの契約書が存在したとなっています。
「木材を、ぎょうさん使うて学校こしらえたから、銭(補助金)ちょうだいなぁ」、の『国土交通省』分。
「学校の防音工事さしてもろたから、銭(助成金)ちょうだいなぁ」、の『大阪エアポート』分。
「健全経営しとるでっしゃろ。だから小学校の認定してくださいなぁ」教育審議会に報告するための『大阪府』分。
その差額は、一番大きいところで、約16億円。
このニュースを見て、不動産業界の多くの人は「やりすぎだよねぇ…」と口にするわけです。
ハナから「アカン!」とはならないのです。
『住宅ローン』とは、名の通り、「居住するための家を買うためにお金を借りる」システムです。
だから、目的以外には使ってはいけないものです。
具体的に説明すれば、基本は、「マンション(物件)の販売価格」のみを貸してくれます。
一昔前までは、この原理原則は絶対でした。
だけど、実際に不動産を買おうとすれば、それ以外にかかる費用も馬鹿になりません。
買った物件の謄本(国が管理する不動産情報部門・法務局の帳面)を自分名義に書き換える手間賃『登記費用』。
病気になったり、亡くなったり、火事になったら住宅ローンが払えなくなるのを防ぐ『団体信用生命保険』、『火災保険』。
不動産会社の手間賃『仲介手数料』。
金融機関の住宅ローンの手間賃『事務手数料』と、保証人代わり供託金の『保証会社代』。
最近では、このぐらいまでは、住宅ローンでカバーしますっていう金融機関も増えてきました。
ただし、以下の部分はグレーゾーンです。
まずはリフォーム代。
これは認めます、っているところもあります。
特にシニア向け・バリアフリーの工事の場合、優遇で借りれる場合もあります。
次に引越代。
これはほぼアウトです。
家本体とは関係ありません。
同じ理由で、家電・家具代も駄目です。
今まで住んでいた住まいのローンの残債ですが、これは借入限度額を超えていない場合は大丈夫の場合もあります。
「子どもの学校が転校になるので、その費用を住宅ローンで…」。
「離婚で新居を買うので、慰謝料を…」
これが完全にアウトです。
それでも、グレーゾーンのお金がないと買わないよ!ってなったらどうするか。
そこで契約書の複製と言う、『悪魔の方法』に手をつける人がいたそうです。
方法は簡単。
物件価格を水増し、『ふかす』わけです。
不動産の価格は、定価がありませんから、その分価格をアップすればいいわけです。
それでも足りない場合は、リフォーム費用を『ふかす』わけです。
そうすれば、住宅ローン用の契約書と、実際の契約書と2通、存在するわけです。
森友学園と同じで、目的別に契約書を作成するわけです。
悪魔の方法を使って、余った金で会社の資金にしたり、車の購入資金にしたり、する輩もいたそうです。
しかしバブル崩壊後に問題化した「住宅ローンを苦にした夫婦の自殺」や、平成11年に発生した『本庄保険金殺人事件』(スナックで有料の記者会見やったやつです)などをきっかけに、住宅ローンの厳格化が進められました。
物件価格は、金融機関が独自にしっかり調査するところも増えました。
リフォームも『完成写真』を後日請求する場合もあります。
ズルができなくなったわけです。
事の大小はもとより、うそはいけませんね。
というか、「マジシャンが言うなやっ」と返されそうですが…。
□「どこまで借りられますか?」と聞いて見る。
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