不動産購入時の2番手、3番手問題を考える。

不動産の購入は、大きな買い物です。

また、なかなか同じものが売り出されることがありません。

同じマンション、同じ間取り、同じ広さでも、位置が一つ違うだけでも大きな違いが生じることもあります。

くわえて、中古マンションでいえば、同じような物件でも販売価格が大きく違う場合もあります。

もちろん、室内のコンディション次第で価格は大きく変化します。

しかし、「今回売り出されていた物件が販売終了になったら、後日同条件のものが出てくる」可能性は高くはありません。

 

さて、前置きをしてから、本題を展開します。

中古マンションの物件確認(売れているか?売れてないか?販売を担当している不動産会社に確認する)を行う時に、こんな返事をいただくことがあります。

「申し込みをもらっているのですが、引き続き販売をしています」。

また、こんなケースをあります。

レインズ(REINS)という、不動産会社が共有する物件情報ネットワークがあります。

基本、不動産会社が売主から売りたい物件を預かったら(媒介契約)、その情報をアップしなければならないものです。

その情報を見て、前記の物件確認をするとします。

私「○○マンションは、まだご紹介可能でしょうか?」

先方「お話入っております」。

でも、1か月たっても、その物件はレインズ上で、「紹介可能」になっているわけです。

 

例題に挙げた2つの事柄ですが、いったい何が起こっているのでしょうか?

簡略に言えば「買いたいという人が出てきているが、何らかの理由で契約していない」ということです。

一番最初に手を挙げた人(一番手)をキープしておいて、2番手・3番手を受ける、というケースが、不動産取引の場合、よくあるのです。

なぜそんなことをするのでしょうか?

理由は、買い手・売り手、そして仲介会社の事情で、こんなことをする羽目になっているのです。

 

買い手の事情で多いのは、「住宅ローンの審査」です。

買いたくても、お金を借りれない可能性がある場合、売買の話自体がなくなってしまいます。

そのため、買い手の雲行きが悪い場合、保険として、2番手・3番手を受ける場合はあります。

この場合は、1番手がこういう状態であることを説明しながらの案内になるはずです。

売り手の事情で多いのは、「指値」です。

今の中古マンション市場は、販売価格から値引きをしてもらう「指値」が主流です。

しかし、過度なディスカウントされた場合、そのお客を保険として、2番手・3番手を受ける場合はあります。

この場合、1番手がこのぐらいの金額を提示していることなどが提示される場合があります。

 

問題は「仲介会社の事情」です。

これは、「両手にしたい」ためです。

不動産の仲介会社の報酬方式には、国が定めたルールがあります。

「不動産の売買が締結した場合、売主・買主それぞれ既定の報酬額を受け取れる」ということです。

売主、ないし買主の片方から報酬を受け取れることを「片手」といいます。

売主と買主の両方から報酬を受け取ることを「両手」といいます。

同じ手間なら、報酬額が倍になる「両手」にしたいと考えるのは必然です。

だから、片手のお客が値引き込で一番手になった場合、「保留」になることがあります。

この場合、検討者に、1番手の状況を詳細に伝えることは少ないです。

だって、売り手・買い手には関係ないことですからね。

では、一番手がすんなり、購入する方法は何があるのでしょうか?

良くも悪くもの答えですが、「販売金額で購入すること」です。

 

 

□販売価格とは、売主・買主・不動産会社が断ることのできない金額を指す



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